ティーグルブラン Tigres blancs

弁理士とは、特許事務所を構えし、特許、商標の御願書之代筆人にて候。此は、会津の弁理士がお届けする大人向けSF絵本でござる。


エピソード6「二つの感情」


ジョーの元へ、木々教授から電話が入る。
ジョー:「そうですか。やはり難しいですか。いえいえ、大変感謝しております。お知らせ頂まして、ありがとうございました。はい、ではまた。(ピッ)」
カクマ:「だめか・・・。」
ジョー:「別なアプローチを考えなければならないな。」
カクマ:「・・・あっ!ちょっと心当たりが」

カクマとコウが、カフェにて。
コウ:「えー!私があの約束の書を、やるの!」
カクマ:「声が大きいよ。木々教授に頼んでたんだけど、負の感情が見当たらないとかで、ダメみたいなんだ。」
コウ:「正負感情対比法ね。木々教授が得意とする手法だわ。今まで、正負感情対比法で解けない文書は無かったはずよ。」

カクマ:「正負感情対比法?」
コウ:「正の感情と負の感情の対比で感情の模様が現れるのよ。これをヒントにして、影絵を読み解くように意味を追跡するの。」
カクマ:「ふーん」
コウ:「でも、正の感情しか現れないなんて信じられない。人間の心は、正と負の感情のバランスで保たれているの。正の感情だけだと、バランスがとれないはずだわ。」
カクマ:「バランスかー。」

コウ:「カクマくんも、中学生の頃、中二病にかかったでしょ。」
カクマ:「うん、まー。生と死とか、天国と地獄とか、変な妄想ばっかりしていた。」
コウ:「それよ。大人として社会を理解するためにバランスをとろうとするんだけど、経験知が足りないから、極端な妄想に走るのよ。分銅が乗っていない天秤が風に揺れるようにね。」
カクマ:「確かにそんな感じだった。ブレまくりで怖かった。」
コウ:「まー、事情はわかったわ。とにかく、やってみるわね。」

数日後、カクマの元へコウから電話が入る。
コウ:「カクマくん、大丈夫よ。感情の模様が出たわ!」
カクマ:「どうやって?」
コウ:「正の感情が2種類あるみたい。筆者は一人じゃないのよ。筆者は二人居たのよ!何かの事情があって、おそらく二人ともに強く生きようとする意志に目覚めて、同時に二つの正の感情が噴出したの。お互いの正の感情で支え合って、バランスがとれているみたい。それが文章の色分けに出たのよ。(興奮)」
カクマ:「どういうこと?」
コウ:「私にもよくはわからない。でも、これで解析が進むわ!待っててね。新しい世界が見えてくるわよ。」

PAGE TOP